スパイス気分

人口1万人余りの栗山町は、札幌から車でおそよ1時間。栗の木がたくさんあったことが地名の由来です。そんな栗山町にあるシェアキッチンには、有機玄米が添えられた”本格的なスパイスカレー”のお店がありました。

スパイス気分の店主 大嶌さんは、農業が大好きな女性です。お母様のご実家が農業をされていて、小さいときは遊びに行きがてらお手伝いをされることもあったんだとか。そのご経験もあってか農業に興味を持ち、大学では酪農を学ばれたそうです。実際に仕事で農業をされたことは無いそうですが、牛や羊など動物が大好きだと笑顔で話してくださいました。

カレーを盛り付ける大嶌さん

結婚後、子育てをしながらパートのお仕事をされていた大嶌さんですが、お子さんの交通事故がきっかけで”子どもたちとの時間をもっと大切にしたい”と考えるようになりました。時間に融通のきく仕事は無いかと悩んでいた時、読んでいた本に”自分の好きなことで仕事の自給(起業)をしよう”という言葉を見つけます。確かに、自分で仕事を始めてしまえば時間を自由に使うことが出来るし、将来的に大好きな農業を取り入れながらの生活スタイルにも近づけるのではと、カレー屋を起業することを決意されました。それからは、本の著者であるパーマカルチャー研究所の三栗祐己さんに直接学び、たった半年でお店をオープンさせたそうです。優しい笑顔が魅力の大嶌さんですが、行動力と意志の強さを感じました。現在は月に1~2回、シェアキッチンでカレー屋を開いたり、スパイスたっぷりの辛味調味料スパイス気分や冷凍のレトルトカレーをインターネットで販売もされています。

お店の名前と同じ”スパイス気分”ですが、カレーに少し足すだけでスパイシーさと辛みが増す”辛み調味料”です。小さなお子様がいて、いつも甘口カレーになってしまうお父さん、お母さんにお勧めの商品です。塩味がないのでしょっぱくならず、辛みだけをプラスしてくれます。カレーの他にもお味噌汁に入れたり、炒め物の隠し味にも使えて便利です。

スパイス気分さんのカレーの原型は、ご主人が学生時代にスリランカ人のご友人から教わったものでした。それをベースにレシピを書き出してみたところ、通常のスパイスカレーのおよそ2倍のスパイスを使っていることがわかったそうです。なんとも贅沢なカレーですね。スパイス気分さんでは主に、インド産のスパイスを使用しているそうで、砂糖や小麦粉は一切使用していないのだとか。

インド産のスパイスやダル(豆)

更に私が注文した”ダル(豆)カレー”は、ヴィーガンのお客様でも召し上がれるようにと、元々バターを使用していたレシピをココナッツオイルのレシピに変更されたそうです。調味料もシンプルなものを選び、化学調味料や添加物になるものは使用せず、また、食べる人の健康を考え「南幌産の有機JAS認証の玄米」が添えられています。たくさん使う玉ねぎは地元のものを仕入れ、他のお野菜も直売所から仕入れるようにされていて、お肉は国産のものを使用。薬膳スパイスを使用することもあるそうです。

ヴィーガンでも食べられるダルカレー

スパイス気分さんのカレーはレパートリーが多く、毎月メニューが変わります。ダルカレーは毎月あるそうですが、夏はキーマカレーがあったり、冬はスープカレーがあったり。お肉はポークの月もあればチキンの月もあります。いつも3種類のメニューがありお好きなカレーを選ぶことが出来るので、毎回違う味を楽しめますね。

おかずきくらげ

栗山産のきくらげを使った中華風の甘辛い佃煮です。こちらも無添加・無化学調味料。白砂糖は使わずに、本みりんときび砂糖で甘みを付けています。きくらげはキノコの一種ですが、ビタミンDや食物繊維が多く、微量ミネラルも含まれている食材で数年前から注目が集まっていますね。今後商品化されるのが楽しみです。

2020年に開催された”北海道スープカレーレシピコンテスト”。コロナ禍だった為、応募者からのレシピを基に再現したスープカレーを審査員が審査する形式のコンテストでした。そこで大嶌さんは「カスべのスープカレー」のレシピで応募し、見事入賞!”GARAKU賞”を受賞されました。カスべはエイのことですが、油で揚げると骨もパリパリとおつまみのような軽い食感になります。それをスープカレーに合わせるとは、素晴らしいアイディアです。ぜひ、食べてみたいですね。
※コンテスト「北海道スープカレーレシピコンテスト

くりふとは”栗⼭町⺠や栗⼭町に関わる⼈たちが活動し交流するためのコミュニティスペース”です。赤レンガ張りのおしゃれな外観に室内空間は高い天井で開放感があり、置かれているテーブルや椅子は栗山町のボランティアの方々がくりふと内の施設”ファブラボ栗山”の機材を使用し製作されたそうです。スパイス気分さんはここの”くりふとキッチン(調理室)”のシェアキッチンを利用し、月に1~2回ほどカレー屋をオープンされています。

栗山煉瓦創庫くりふと

今後は、自分で育てたお野菜を使ったカレーも提供したいと考えていらっしゃる大嶌さん。ますます楽しみになりました。自然豊かな栗山町で”優しい笑顔”と”本格的なスパイスカレー”が食べられるお店でした。

すぱいすきぶん

※不定期でオープンされている為、Instagramまたはくりふとのスケジュールカレンダーでご確認ください

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