稲葉ファーム

岩見沢市で、長年自然栽培にこだわりながら、米や野菜を栽培する農家さんをご紹介します。

収穫作業
収穫作業

有限会社太陽と月と地球の代表 稲葉勇人さん。この日は夏野菜の収穫をされていました。
戦後間もない復興期。農地法が制定された昭和27年の2年後、昭和29年に時代の流れと共に、お祖父さまとお父さまは、新十津川町で農業をスタートされました。これが『稲葉ファーム』さんの始まりです。

お祖母さまが植えられた庭のブルーベリー

「自然栽培にこだわったのは父(先代)でした。」それまでは化学肥料や農薬を使った栽培方法と自然栽培の二刀流で農業をされてきた稲葉ファームさん。昭和42年に現在の圃場(岩見沢市北村)へ移転されたことをきっかけに、本格的に自然栽培一本へ転向されます。自然栽培にも様々な農法がありますが、稲葉ファームさんはまず「岡田茂吉さん」の提唱する自然農法で栽培を始め、次に「MOA自然農法」に取り組まれました。現在は「自然栽培全国普及会」のガイドラインに沿って自然栽培をされていらっしゃいます。

先代から引き継いだ自然栽培の書物

現在はもう出版されていないという貴重な本を見せてくださいました。表紙の劣化から、歴史を感じます。

  • 岡田自観(茂吉)著 無肥料栽培法(昭和24年)
  • 土を生かすみち 自然農法畑作篇(昭和30年)

農家の長男として生まれた稲葉さん。自然栽培で農業をする父の背中を見て育ちました。学校卒業後、農家は継がず就職のため札幌へ。結婚後は奥様と一緒に保険代理店と行政書士事務所を設立し、デスクワークをこなす傍ら、休日には圃場のある北村へ通い農業を始めます。現在稲葉さんは農業一本。自宅のある札幌から岩見沢の圃場を往復する日々が続いています。

花を咲かせるじゃがいも畑

農業で連作と聞くと、病害虫の影響や収量減少などの”連作障害”をイメージしてしまいがちですが、自然栽培では連作をすることが基本。毎年同じ圃場で同じ作物を育てることで、土の中の菌や微生物たちがその作物に合ってくる。年々土が肥えて益々美味しい作物がたくさん収穫できるようになっていきます。しかし中には、何年植え続けても合わない土(圃場)もあるそうで、そんな時はまた別の圃場で試してみるんだとか。根気強く同じ圃場に苗を植える稲葉さんは、とても忍耐強い方です。だからこそ収穫できた作物にはとびきりの美味しさがあり、稲葉さんの育てた野菜やじゃがいもを心待ちにしているファンがたくさんいらっしゃるのだろうと感じました。

人参のスジつけ作業

現在稲葉さんは、自然派住宅の会社さんと共同主催で年に4回のイベントを札幌市北区で開催されています。自然栽培や有機栽培をしている方の販路になればと開催されたのがきっかけだったそうです。2016年から開催され、今年で第9回目の開催です。7月~10月の第3日曜日の午前10時からスタート(土曜日に開催される場合も有り)。自然栽培や有機栽培の農作物や自然派のパンや焼き菓子も並びます。開催日によって、出展されるお店や商品が変わりますので、詳細はこちらをご覧ください。

生まれた時から自然栽培と関りの深い稲葉さんは、とても頼りになる存在です。それに加え、強い信念があるからこそ周りを引き付けるのだろうと感じました。

稲葉ファーム

いなばふぁーむ

  • 住所:岩見沢市北村豊里107
  • 栽培方法:自然栽培全国普及会(2008年~)
  • 主な栽培品:米、大豆、じゃがいも、カボチャ、大根、白菜など
  • 購入先:らる畑、耕世、マルシェ(ゆりがはらオーガニックマーケットなど)
  • Instagram:https://www.instagram.com/agri0178/