Kotaloha Farm

長沼町で”マコモ栽培”に挑戦中!大自然に囲まれ、約25年間自然栽培をされている農家さんで研修をしながら、農業を営むご夫婦をご紹介します。
札幌市から車で走らせること30分。長沼町に入ります。石狩平野の南東部に位置し、一年を通じて穏やかな気候となっているこの町で、”百姓”をされている農家さんに出会いました。

マコモの前で笑顔をみせるご夫婦

2020年に関東から移住されて来た、コタロハファームの小瀧さんご夫妻。北海道では馴染みのないマコモ(真菰)という植物を北海道で栽培したいと、埼玉の百姓仲間から株を分けてもらい、2022年から試験的に栽培されています。
道民にはあまり馴染みのないマコモですが、本州では出雲大社本殿のしめ縄に使用されたり、ご座を編んだりと、北海道でいう”大麻(おおあさ)”のような存在のようです。浄化作用があり、神事の際にも使用され、神が宿る”霊草”の異名も持つそうです。そんな霊草の表面を触らせてもらうと、チクチクとしたガラス繊維のような細い毛が生えていました。驚くことに、縄文時代の遺跡からも化石が発掘されているそうで、古来より日本に関わりの深い植物なのだと熱く語ってくださったのは、奥様のゆかさん。とてもチャーミングな方で、龍が大好きなんだそう。北海道へ移住する際も、白龍のお告げがあったそうです。私も龍神様にお世話になったことがあったので、とても親近感がわきました。

長寿亀とめぐり棒

マコモを使った、ゆかさんの作品です。
亀は『真菰の長寿亀』です。長寿のお祝いや新年のお飾りに利用できる縁起物です。
棒は『めぐり棒』。お守りとして人氣があり、キーホルダーにしてバッグにつけることも可能です。
どちらもとても可愛いので、季節や場所を選ばず、普段使いやお部屋のインテリアとしてもご使用いただけます。

マコモはイネ科の多年草。栄養も豊富で、食物繊維、ビタミン、ミネラル、葉緑素(クロロフィル)などが豊富に含まれているんだとか。特にケイ素(シリカ)を含む植物は珍しいと思います。お茶にして飲むと、デトックス効果や浄化作用が挙げられ、実際にあったお話も伺いました。長年、生活習慣病に悩まされていたご友人のお父様が、マコモ茶を1週間ほど飲み続けたところ、検査数値が正常値に戻ったそうです。驚くべきマコモパワーですね!更に、マコモを植えてから土や水が浄化され、空気がキレイになるのを感じたり、昆虫界最強とも言われるオニヤンマが現れたりと、不思議なパワーを日々感じられているそうです。
日本で食用栽培されているマコモには、黒穂菌という菌が感染すると茎が肥大し、乳白色の”マコモダケ”が収穫できます。マコモダケは筍の様な食感とたんぱくな味を持ち、中華料理で使用されることが多く、最近ではフランス料理に使用されることも増えているようです。この、黒穂菌に選ばれたマコモにしかマコモダケが出来ない。不思議な植物なのだと教えてくださいました。

不耕起栽培のレタスとトマト

栽培をする際にいつも心の軸としていることは、自然界に住む菌と微生物たち、そして昆虫や鳥、動物たちと共存しながら彼らと一緒に生きていくということ。
栽培した作物を全て人のためだけという考えから、受粉をしてくれた分、病気や弱った苗を食べて枯らしてくれた分、食べた野菜の種を遠くで播種(排泄)してくれた分と考え、一部は彼らのために残しておきます。
時に自然界に住む生き物たちは、人間都合で考えるとやっかい者と思われがちですが、視点をもっと大きく変えてみると、一番平和で豊かな「惑星地球での暮らし方」を教えてくれているのは紛れもなく”彼ら”なのです。そして、そこにはいつも正しい「真実」しかないのです。
また、自然栽培という名の栽培法を厳しく指導してくれるのも彼らです。私たちは親しみを込めて彼らを「マスター」と呼んでいます(笑)。なのでどんな状況であっても彼らの存在には感謝しています。

Kotaloha Farm

コタロハファームさんでは、農薬や化学肥料に頼らず、自然栽培をメインに炭素循環農法やバイオダイナミック農法なども取り入れて野菜栽培も行っています。基本的な作業は、雑草管理、水やり、温度調整のみ。他の作業は、共存している”彼ら”に手伝ってもらっているご様子でした。他にも、菌ちゃん農法なども取り入れ、実験をしながら作物を育てられていました。
2010年から関東でサラリーマンをしながら自然栽培に関わり始め、農業スクールや週末農家の経験を経て現在に至る小瀧さんご夫婦。マスターとの関係は、これから先も続いていくのでしょう。

左(上):北海道の食用ホオズキ
右(下):関東の食用ホオズキ
北海道の食用ホオズキは葉が小さいものの、すでにたくさんの実を付けています。関東で育てていた種類の食用ホオズキは大きな実が生るものの、北海道では寒さで枯れてしまう苗もあるそうです。

コタロハファームさんで栽培されている野菜は、自家採種した種を使ったり、固定種にこだわっているそう。知り合いの農家さんから無農薬の苗をわけていただくこともあるそうです。ここ北海道の野菜と関東の野菜を同時に植え、生長を比べながら栽培するという興味深い畝もありました。

手作りの水田

今年は大豆畑だった畑を自分たちで整備し、水田をつくられたそうです。元々サラリーマンだったとは思えぬお仕事ぶりに驚愕しました。6月には仲間を集め、田植えイベントを開催。九州生まれ関東育ちの小瀧さん。北海道に移住されて4年ほどですが、明るく穏やかな人柄に惹かれ、自然と人が集まってくるのだと感じました。

古墳型の畝に植えられたレタス

古墳型に形成された畝は実験畑。レタスを植えたが、2株虫に食われてしまった。枯れてしまうと思いきや、その株は茎を伸ばし花をつけ、もうじき種が採れるまでに生長しています。不思議なことにその他の株には虫はつかず、立派に育っています。小瀧さんご夫婦は、葉を食われたレタスは元々生育が弱く、虫たちもそれをちゃんと分かっているので協力してくれている。そしてレタスは自分自身の生長よりも未来の子孫を残す準備に入っている。葉を食べる虫たちも葉を全て食べることはなく、食草であるレタスが枯れてしまわぬ様、葉脈には手を付けず上手に共生しているのだと教えてくれました。こんなにも小さな空間で一つの生態系が完成していることに驚きと感動を覚えました。

ドクダミを選別する様子(研修先の農家さん)

コタロハファームさんの研修先は、25年も前から無肥料自然栽培で米、野菜を栽培されている農家さんです。畑の奥には国有林が広がり、自然豊かな場所でした。穏やかな笑顔が印象的なご主人と、薬草に詳しい奥様。親しい人たちからは”魔女”と呼ばれているそうです。とても恵まれた環境で農業を始められたと嬉しそうに話す小瀧さんご夫婦。最後にメディカルハーブの資格を持つ、ゆかさんからとっておきのお話を伺いました。
日本人はすぐにお医者さんにかかりがち。ほとんど自分のことを知らないお医者さんに、自分の身体を預けるのは勇気がいること。そして本来、自分の身体は自分自身が一番よく知っている。だから治せるものは自分自身で治せたら一番良いと思う。実は日本は薬草の宝庫。目の前に生えている”雑草”が”薬草”だったりもする。だから、一人ひとりが身体に良いものの知識を付け、薬に頼らない暮らしができるようになるのが私の理想だと、熱く語ってくれました。

左(上):桑の木になる桑の実
右(下):桑の実(マルベリー)
畑の周りに自生する、桑の木。完熟した黒紫色の実は世界中で愛され、果実酒やジャムにして楽しめます。葉は鎌倉時代の書物に飲水病(糖尿病)の改善に有効という記述があるようです。

コタロハファームさんは来春(2025年3月)研修を終了予定。これからの”百姓”としての活躍がとても楽しみです。また、会いに行きたい。そう思える農家さんでした。

Kotaloha Farmさん

こたろは ふぁーむ